コラム

コアバリューを知り、磨き続けること。

近年、私達の身の回りのものは大きく変化し、進化を続けています。携帯電話1つにしても約30年の間で、ショルダーフォン、ポケベル、プリペイド携帯、現在ではガラケーと言われる携帯電話の形からスマートフォンへと変化をしてきました。 2015年頃から全ての「モノ」がインターネットとつながるIoT(Internet of Thing = モノのインターネット)が始まり、歴史的にも4回目の大きな産業的な変化と受け止め、この時代はインダストリー4.0(第4次産業革命)とも呼ばれています。

もちろん、大きな変化や革命は、今までにも人類の産業や環境に大きな進化を促してきました。 また、こういった話に限らず、吸収合併、倒産、制度変更、法改正など、「変化」というものは自分たちの身の回りで常に起きている事です。 そんな中でもずっと変わらず生き残っているものやブランド、伝統などに目を向けてみると、今後の大きな変化の波の中で自分たちが生きていくヒントが見えてくるように思います。

1837年に創業したフランス発のエルメスは、有名なラグジュアリーブランドであり「バーキン」や「ケリー」を代表とする高級バッグで、世界中の人々の憧れの的となっています。 馬具工房からスタートしたエルメスですが、フランスの生活様式が馬車から車へと変化したことによって、自然と馬具の需要減に直面しました。 持っている技術で馬具をそのまま作り続けるのではなく、革を加工する技術を応用して鞄をつくり、馬具のクサリでアクセサリーを作りました。

社会の変化を受け入れながら、自分たちが身につけた能力や技術、伝統を活かすこと。 そして、常に自分たちが世の中でどの価値を提供できるかを考え、時代に合わせて変化を受け入れながら企業文化を継承していく柔軟な姿勢が、現在の地位を得た秘訣のように思えます。 エルメスが培った技術や伝統のように、私たちの能力は、実際に何かをやり遂げる事を通して、育成されていくのだと思います。失敗や工夫のなかで能力は磨かれ、得手不得手を超えて自信となっていく。

自分のコアになる能力( = コアバリュー)を育て、鍛錬し、自分の価値を創造していくことが大切です。 そして、その価値を世の中でどう提供できるかを考え、行動に移すことができれば、大きな変化の波の中でも自分を見失わず生きていけることになるのではないでしょうか。

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