コラム

太い幹づくり。

2018年ピョンチャン五輪では、日本選手団の13個メダル獲得という、歴代最多の記録を残したことは記憶に新しい出来事です。フィギュアスケートで活躍をした羽生結弦選手においては、大きな期待というプレッシャーの中での五輪二連覇ですから、私達の想像を超える努力量とメンタルの強さの裏付けがあったことだと思います。

いっぽう2014年ソチ五輪では、ジャンプの高梨沙羅選手が、金メダル候補者としての重圧から体調を崩し、ホテルで倒れ病院に搬送され、若きホープとして臨んだ最初の五輪では、まさかの4位となりメダルを逃しました。その後、時間が過ぎてもソチでの記憶が消えず、心の傷として当時のことを日々夢に見るほどだったそうです。その為に、よりジャンプに必死になり、周りが見えなくなるほどに向き合うが為に、また悪夢に襲われる、といった悪循環の中で苦しんでいたそうです。

努力を続けたからといって、自分の望む結果が得られるかどうか、約束はされていません。大なり小なり、大人でも子供でも、一般社会の中でもそれは全員に言える話です。そして、結果が実らなければ誰しもが落ち込み、一生懸命であればあるほど傷つきます。そうなった時、皆さんはどうするでしょうか。

高梨選手の場合、ジャンプそのものを辞めるという選択肢は出てこなかったそうです。逆に、練習や試合の際に赴いた土地で、ジャンプの事だけではなく、会場の施設や他選手の動き、街の雰囲気、カフェの場所なども気にかけるようになりました。身の回りのいろんな物にも目を向け、視野を広げた事によって、ジャンプに対する多角的な分析ができるようになったそうです。ジャンプの成績を向上させなければ、という不安や焦りがあったとしても、こういった有意義な時間を過ごせたことが、結果としてより良い改善に繋がり、ピョンチャン五輪では2位の選手とは僅差の銅メダルを獲得する事ができました。

物事の成功には“努力”と“継続”は切っても切れない、大切な要素です。この2つがなければ、成功にたどり着くことはほとんどない、と言っても過言ではないでしょう。しかし、同じ事ばかりをする一辺倒なやり方だけではなく、異なるジャンルや姿かたちを変えた所からもヒントを得ようと、様々なものに興味や好奇心を持つことが、本人の幹を太くしていく事となり、新たな結果を生み出して行くようです。こういった遠回りに見える時間も、成功や、何かを獲得していく過程において、また大切だと考えます。

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